この本の感想は、本文にめっちゃわかる~って文があったので引用する。
「文章の読解は、その文章を誰が書いたかによらず行われる。 その無邪気なスローガンを、わたしも一応、承知している。それと同時に、世には程度というものが存在していて、全ての文章の読解に常に全力を注ぐことなどできないのも明らかだ。」
—『これはペンです(新潮文庫)』円城塔著 https://a.co/f4IQgcH
と
「体の方をつくり変えねば決して読めない本もある。」
—『これはペンです(新潮文庫)』円城塔著 https://a.co/fMHt7s1
これ。『道化師の蝶』にも同様の感想がある。
正直、表題作の『これはペンです』を読み終わってから「この作者の作品を楽しむには人生はあまりにも短すぎる……」となって読むのを止めようかと思ったんだけど『良い夜を持っている』が良くて読み終えることが出来た。
「それらの全てを使ってようやく、妻とはこの街で出会ったという意味をなすのです」
—『これはペンです(新潮文庫)』円城塔著 https://a.co/7ilwvN2
ここらへんの文章が綺麗で、文章に含まれる情緒を感じ取れ始めて面白くなった気がする。
後半に書かれる色々によって、それまでの文章が、脳が普段とは違う動きで理解しようとしている感覚があって面白かった。
『これはペンです』との対比や繋がりも面白かった。『これはペンです』は書くこと、『良い夜を持っている』は読むことを題材にしてるのかな。
これ先に読んでたら『道化師の蝶』ももうちょい根気を持って挑めたかもしれないな?とも思った。けど『これはペンです』が芥川賞受賞できなくて、その後に『道化師の蝶』を書いて受賞したんだとしたら、なんかウケるねって感じがする。