これはすごいよ。
なぜだか分からないけど途中から村田沙耶香『地球星人』っぽいなと思いながら読んでいた。終わり方も地球人間っぽいなと思った。
確か買ったときはタイトルと表紙に惹かれて、芥川賞受賞作だと知ったのは本屋で見かけてからだった気がする。
「電車が停まり、蟬の声がふくらむ。送信する。隣からいいねが飛んでくる。」
—『推し、燃ゆ』宇佐見りん著 https://a.co/9gn6ZLs
タイトルに「推し」と「燃ゆ」が組み合わさっているように、主人公の視点の描き方も若者だなあって感じで新鮮だった。
読みながら藤原基央が俺にとっての推しだなぁとは思ったけど俺には明確に熱量を持って「推し」ている存在が居ないので、共感する部分は少ないはずなのに「推しは私の背骨だ」と思わされた。
物語の進み方が大衆文学のような雰囲気があったので、ラストの数ページで主人公の心情が変わり一歩前に踏み出してしまうのではないかと恐れながら読んだけど、そんなことはなく、背骨を喪った人間が残ったのも良かった。
すごかった。